情動表現の普遍性
心理学における「情動表現の普遍性」とは?
情動表現の普遍性とは、人間が喜怒哀楽などの基本情動を表情や声のトーン、身体の動きなどの非言語的な表現で表現する際に、文化や社会を超えてある程度共通したパターンが見られるという心理学における考え方です。この考え方は、19世紀にチャールズ・ダーウィンによって提唱されました。ダーウィンは、世界各地の人々の表情を観察し、喜怒哀楽などの基本情動を表現する際に、共通した表情が見られることを発見しました。ダーウィンは、このことから、情動表現は人間の生得的なものであり、文化や社会によって決定されるものではないと考えました。
情動表現の普遍性を支持する研究は数多くあります。例えば、ポール・エクマンは、世界各地の人々に喜怒哀楽などの基本情動を表現させた写真を見せ、その写真がどの情動を表現しているのかを判断させた研究を行いました。その結果、どの文化や社会に属する人々も、基本情動を表現する写真を高い精度で正しく判断できたことがわかりました。このことは、情動表現が人間に普遍的なものであることを示唆しています。
しかし、情動表現の普遍性については、批判もあります。例えば、文化や社会によって、情動を表現する方法は異なるという指摘があります。実際、ある文化では喜怒哀楽などの基本情動を表情で表現することが一般的である一方、別の文化では声のトーンや身体の動きで表現することが一般的であるという例があります。また、同じ文化や社会に属する人々でも、個人によって情動表現の仕方は異なるという指摘もあります。
情動表現の普遍性は、複雑な問題であり、完全に解明されているわけではありません。しかし、情動表現が人間に普遍的な傾向を持つことは明らかであり、人間の心の働きを理解する上で重要な概念です。
参考URL
情動表現の普遍性 - 職場で使える心理学 https://memosinri.hatenablog.com/entry/2432.html